原作「ザリガニの鳴くところ」が非常に良い作品で、特に和訳が丁寧・適切で感動したこともあり、11月18日(金)上映開始を楽しみに待っていて、出張明けの11月20日(日)に映画鑑賞にでかけました。 小説だから良いところ、映像になるから良いところ、両建て…
戦争がおわってから闘わざるを得なかった戦争孤児の事を知ってほしい。1945年の本土空襲が激化した敗戦前夜から敗戦後にかけて、親類に頼ることが難しい空襲被害者たちは、駅舎や地下坑道を占拠し、雨風をしのがざるを得なかった。特に、両親を亡くした子供…
1932年7月7日に勃発した盧溝橋事件の直後の、9月25日にM市の弾薬や肥料等を作る化学工場で2度の爆発事故が起こり、黄白煙が市内に流れ込む。直後より近隣の子供たちを中心として消化器症状や咽頭痛を訴え、症状のある子どもを連れた親たちが開業医の元に殺…
サイコパス(psychopathy)とは、もともと連続殺人犯などの反社会的な人格を説明するために開発された診断上の概念であり、日本では「精神病質」と訳されてきた。 著者は脳科学者であり、歴史的事例や経過を丹念に調査し、人格障害や発達障害などの精神疾患…
大学の同級生で付き合い始め、ファミレスチェーン店の店長に就任した勢いで30歳の時に求婚した夫。大手の建設会社に入社し、ラジオのパーソナリティもこなす、会社で初の女性課長代理に昇進した妻。結婚は、子どもは作らず、2人で好きなことを全うしようとし…
料理研究家の著者の生い立ち、料理との向き合い、フランスでの料理修業、日本の「味吉兆」で学んだこと、家庭料理への向き合い方など、料理研究家土井善晴氏のエッセイ。 一言で料理と言っても、民族、生活環境などにより、食材も違えば、調理方法や盛り付け…
作家、朱野帰子さんの作品でドラマにもなった「わたし、定時で帰ります」3部作は、IT企業働く労働者の辛労辛苦を、インパール作戦、忠臣蔵、女工哀史を対比しながら現在のクリエイティブなIT企業の光と闇を小気味よい展開で綴り、会社組織で働く女性の活…
中国共産党結党より1年遅れて、日本共産党はコミュンテルンの日本支部として結成され2022年7月15日に創立100周年を迎えた。スパイ、裏切り、特高警察による弾圧や公安警察による謀略、創価学会からの盗聴事件、暴力革命路線との決別、中露共産党の干渉との闘…
40歳~50歳代の熟年期の男女が、大学生時代のテニスサークル同総会に集まる主役に、そのパートナーもぎこちなく参加する。学生時代に共に過ごした仲間内の人間関係や恋愛関係に、パートナーの過去を知らない同伴者の心の揺れや嫉妬。短編の展開の中で、徐々…
2022年9月29日、従軍慰安婦をテーマにした映画「主戦場」について、3年にわたる裁判は、同意なくインタビュー映像を使われたなどとして、米国人弁護士ケント・ギルバート氏ら5人が、ミキ・デザキ監督や配給会社「東風(東京)」に上映中止と損害賠償を求めた…
3年ほど前に職場に書籍の案内があり、「終活」も話題になっていたことから職場のみなさんと一緒に購入したが、積読になっていた。最近、長くつきあいのあった独居の方が自宅で孤独死され、身寄りは施設入所中の妹さんのみで、成年後見人制度を利用しているこ…
#今からでも国葬中止を 安倍晋三元総理大臣の国葬を巡っては、政府からの説明は不十分であり、多くの世論調査で国民は納得していない。 一つは「曖昧な意思決定」であり、国会の審議を経ずに閣議決定し、国家の私物化とも言える。2つ目は「費用は高額で変動…
書店の売り場に「中国・韓国の反日攻勢」「南京大虐殺の嘘」「慰安婦問題のデタラメ」「あの戦争は日本の侵略ではなかった」「自虐史観の洗脳からの脱却」などの歴史修正主義に関する書籍に目が行き、つい手を伸ばして購入したことはないだろうか?最近では…
諸処批判もあるだろうが、雑感を備忘録としてブックメモを作成した。 日本共産党の創立100周年の節目に、著者は「はじめに」で、「日本共産党が組織として刊行した公式党史、綱領集などの資料、機関誌「しんぶん赤旗」、党幹部が実名で公刊した書籍を情報源…
某雑誌の2022年9月号に東京都立大学特任教授の宮下与平氏が、主権者意識や職員育成の論文で「新自由主義社会の青年の特性と職員育成方法のポイント」16項目について、脳科学者、認知科学者の中野信子さんの書籍を参考にしたとの記載があり、編集部に問い合わ…
職場に蔓延するパワハラやセクハラ、食にまつわる同調圧力、不公平な業務分担など、男性一人と女性二人の関係を軸に、転勤してきた男性と、仕事のできる女性の二人の視点と語り口で、3人の人間関係を紡いでいきます。職場内の会話と裏腹に心の声や嘆きは、言…
SNSで話題になっていて、編集者の澁谷知美さんの「日本の包茎-男たちの200年史(筑摩書房)」や清田隆之さんの「自慢話でも武勇伝でもない『一般男性』の話しから見えた生きづらさと男らしさのこと(扶桑社)」を読んでいたこともあり、共感することも多…
パートナーがTHE BOOMのファンであったこともあり、ドライブで聴き、カラオケで歌っている曲である位の認識でしかなかった「島唄」。著者の宮沢和史さんが「島唄」を発表して30年の節目に本を書かれたことを新聞記事で見て購読した。 宮沢和史さんは…
日本の歴史の「真実」を正しく教えようと息巻く「歴史修正主義者」たちは、自分たちの支配欲を満たすため、そして日本の自虐史観からの脱却を目指して、歴史の改竄や歪曲を推し進める政府幕僚や自民党、維新の会、右派勢力など枚挙にいとまがない。 著者は、…
「赤旗」記者が戦争体験者や専門家を訪ね、取材を重ねた書籍として、日本の侵略と加害の全体像を網羅的に、かつ平易にまとめた導入書となっている。 歴史として必要な体験者の事実の積み重ね、専門家による加害と被害の事実を国内外の情勢との関係で分析され…
先日1995年初版の吉見義明さんの「従軍慰安婦」を読んでいて、 陸軍では、上海派遣軍の岡村寧次参謀副長副参謀長が海軍の慰安所を参考にして、1932年3月から(慰安所の)設置あたった。その回想によれば、上海で日本軍人による強姦事件が発生したので、これ…
アジア・太平洋戦争では、日本の貧困や飢餓から村をあげて旧満州への移民政策が推し進められた。移民政策と同時に現地に住む中国人の住居を接収し、日本人に追い出された多くの中国人が困窮した。敗戦と同時に、中国人はかつて日本人が行ったとおり、日本人…
なぜ映画や映像を早送り再生しながら観る人がいるのか。なんのために。それで作品を味わったといえるのか?著者の疑問から、近年の若者たちの置かれている現状や背景から考察する。とにかく忙しい、時間がない、一方でスマホのSNSでは24時間縛り付けられ…
一夜にして10万人の民間人が殺害された東京大空襲では、77年が経過した今でも被害に苦しむ多くの人たちがいる。社会全体の無知や無関心、偏見に苦しめられながらも、国に対して救済を求めて立ち上がった空襲被害者たちの闘いと、政府や司法、立法の不誠実な…
一橋大学社会学部加藤圭木准教授と韓国からの留学生を含む5人のゼミナール学生が、日韓のモヤモヤを共有し、日韓の歴史を学び、考えていきます。 K-POPを楽しみ、韓流映画にはまり、韓流推しを友人と共有すると「反日」の烙印を押される。インターネッ…
アジア・太平洋戦争の敗戦記念日を前に、過去の過ちに向き合おうと、1995年に出版された吉見義明氏の従軍慰安婦を読んだ。 1991年12月、はじめて3人の韓国人元従軍慰安婦が、日本政府の謝罪と補償を求めて東京地裁に提訴し、日本人に衝撃をあたえた。しかし…
本書は、しんぶん赤旗に2019年4月16日付~2021年1月13日付までに32回に渡り各時代の専門研究者が執筆したまとめである。当時、読み忘れた回も幾度となくあり、書籍として出版されないかと期待していたところ、絶妙のタイミングで出版された。がしかし、他に…
石川優実さんを知ったのは、2021年11月30日に発売された著書「もう空気なんて読まない」を購読し、Twitterの#KuTooで靴と苦痛をかけた造語で一躍有名になり、自分の経験を元に、女性として生きていく過去の厳しい体験、そしてフェミニズムについて、縦横に語…
2019年8月15日、NHK放送で「全貌二・二六事件~最高機密文書で迫る~」が放送された。従来は、蹶起した陸軍側の資料を元に二・二六事件が語られ、書籍が発行されてきたが、今回は海軍側の極秘文書が見つかり、事件は複眼的な史実を詳細に伝える放送となっ…
良く知っている弁護士さんが、自著3冊目の書籍を献本頂き、ありがたく読ませて頂いた。安倍元首相の暗殺を巡っては、世界平和統一家庭連合(旧統一教会)による過去の霊感商法や合同結婚式などの問題が再燃している。本書では、当時の旧統一教会による霊感商…