浅学菲才の嘆息

中野信子さんの「サイコパス」を読んで

 サイコパス(psychopathy)とは、もともと連続殺人犯などの反社会的な人格を説明するために開発された診断上の概念であり、日本では「精神病質」と訳されてきた。

 著者は脳科学者であり、歴史的事例や経過を丹念に調査し、人格障害発達障害などの精神疾患に加え、最近の脳科学や画像診断など、神経生理学的知見に基づく裏付けなども示し、サイコパスを検証していく。「平気でウソをつき、罪悪感ゼロ」そんな、サイコパスは100人に1人の割合で社会に存在し、相手の感情を巧みに読み取り、人を支配していく。サイコパスだからと言って必ずしも犯罪者になるわけではないが、社会的地位の高い経営者、弁護士、外科医などにもサイコパスと思える人々がいる。一方で、介護士、看護師、セラピストなど、人をケアする人々にサイコパスは少ないとする。ネット社会に存在するインフルエンサーにもサイコパスがいると指摘するが、昨今の異常な流言流布に警鐘を鳴らす。

 

中野信子:サイコパス.文芸新書,2016(11月20日第1刷発行,2021年6月15日第27版発行購読)

 

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