浅学菲才の嘆息

2022-11-01から1ヶ月間の記事一覧

映画「ザリガニの鳴くところ」を観賞して

原作「ザリガニの鳴くところ」が非常に良い作品で、特に和訳が丁寧・適切で感動したこともあり、11月18日(金)上映開始を楽しみに待っていて、出張明けの11月20日(日)に映画鑑賞にでかけました。 小説だから良いところ、映像になるから良いところ、両建て…

中村光博さんの「『駅の子』の闘い 戦争孤児たちの埋もれてきた戦後史」を読んで

戦争がおわってから闘わざるを得なかった戦争孤児の事を知ってほしい。1945年の本土空襲が激化した敗戦前夜から敗戦後にかけて、親類に頼ることが難しい空襲被害者たちは、駅舎や地下坑道を占拠し、雨風をしのがざるを得なかった。特に、両親を亡くした子供…

清水一行さんの「毒煙都市」を読んで

1932年7月7日に勃発した盧溝橋事件の直後の、9月25日にM市の弾薬や肥料等を作る化学工場で2度の爆発事故が起こり、黄白煙が市内に流れ込む。直後より近隣の子供たちを中心として消化器症状や咽頭痛を訴え、症状のある子どもを連れた親たちが開業医の元に殺…

中野信子さんの「サイコパス」を読んで

サイコパス(psychopathy)とは、もともと連続殺人犯などの反社会的な人格を説明するために開発された診断上の概念であり、日本では「精神病質」と訳されてきた。 著者は脳科学者であり、歴史的事例や経過を丹念に調査し、人格障害や発達障害などの精神疾患…

横山拓也さんの「わがままな選択」を読んで

大学の同級生で付き合い始め、ファミレスチェーン店の店長に就任した勢いで30歳の時に求婚した夫。大手の建設会社に入社し、ラジオのパーソナリティもこなす、会社で初の女性課長代理に昇進した妻。結婚は、子どもは作らず、2人で好きなことを全うしようとし…

土井善晴さんの「一汁一菜でよいと至るまで」を読んで

料理研究家の著者の生い立ち、料理との向き合い、フランスでの料理修業、日本の「味吉兆」で学んだこと、家庭料理への向き合い方など、料理研究家土井善晴氏のエッセイ。 一言で料理と言っても、民族、生活環境などにより、食材も違えば、調理方法や盛り付け…