浅学菲才の嘆息

澁谷知美さん、清田隆之さん編集の「どうして男はそうなんだろう会議-いろいろ語り合って見えてきた『これからの男』のこと」を読んで

 SNSで話題になっていて、編集者の澁谷知美さんの「日本の包茎-男たちの200年史(筑摩書房)」や清田隆之さんの「自慢話でも武勇伝でもない『一般男性』の話しから見えた生きづらさと男らしさのこと(扶桑社)」を読んでいたこともあり、共感することも多いだろうと思い、発売前に注文して読み込んだ。

 編者の澁谷知美さんは、「はじめに」のなかで「ぜひ、会議に参加する気持ちで読んで下さい。賛成するところも反発するところもあるかもしれません。が、誰かが苦しんでいる社会よりも、誰もが自由で平等な社会がいいですよね。」と提起され、本書を読みつつも、自分も会議に参加している気持ちになって、考え、学び、そしてなにより自分のこれまでの思考、言動や行動を反省する機会にもなった。

 「非モて」の苦しみ、マウンティング合戦、男のカラダ、男性優位社会など、編者2人が6人のゲストと語り合って見えてきた、男たちの「現在」と「これから」を多面的に語り合い、参考文献を紹介しつつ検証していきます。「男バキバキ脳からの脱却」の章で、「男性の中には『女性を征服した』感をセックスに求める人もいるわけですよね。」の指摘では、アダルト漫画やAVなど女性を支配する構図は、旧来から通底する男性優位社会の一端を言い当てた表現にドキッとした。「男性性と暴力」の章の「息子にスポーツを強要する父親たち」では、私自身が子どものスポーツに長年携わってきた経験からも、「親のエゴの押しつけ」や「勝利至上主義」など、私も含めたパートナーと子供たちの過去のスポーツへのかかわりを振り返る機会となった。マチズモ(男性優位社会)を見つめ直し、あらためてジェンダー平等を考える1冊として、是非多くの人に手に取って、お読み頂きたい。

 なお、私が購読している雑誌に「明日の自由を守る若手弁護士の会共同代表の黒澤いつきさん」が以下の様な記述をされている。「トップ幹部が維持すべき人権感覚」と題して、(トップ幹部を含む管理者は)絶えず自分の権力性を意識しセルフチェックを怠らない」「『人権が尊重され一切のハラスメントがない職場』づくりは、(管理者を含む)トップ幹部にそうした深慮と高い人権感覚があってこそ可能です」とまとめている点は、本書を別の視点から共有する大切な指摘ではないか。

 

澁谷知美,清田隆之(編):どうして男はそうなんだろう会議-いろいろ語り合って見えてきた「これからの男」のこと.筑摩書房,2022(8月10日第1刷購読)

 

備忘録として、編者2人を含む関係者の書籍を列記する

 

澁谷知美:日本の包茎 男の体の200年史.筑摩書房,2021(2月15日初版第1冊発行)

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清田隆之(桃山商事):自慢話でも武勇伝でもない「一般男性」の話しから見えた生きづらさと男らしさのこと.扶桑社,2021(12月20日初版第1刷発行購読)

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清田隆之:さよなら、俺たち.スタンド・ブックス,2020(12月27日第3刷発行)

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武田砂鉄:マチズモを削り取れ.集英社,2021(7月5日発売購読)

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澁谷知美,清田隆之(編):どうして男はそうなんだろう会議-いろいろ語り合って見えてきた「これからの男」のこと.筑摩書房,2022(8月10日第1刷購読)

 

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