近年、日本の青年たちが管理職に昇進する事を忌避する傾向が顕著になっているという話しを良く耳にします。特に、ハラスメント防止法、働き方改革、テレワークの普及など、新しいトレンドが管理職の負荷を増やし続けていると警告し、管理職の「罰ゲーム化」には、放置すると負荷が上がり続ける、まるでインフレ・スパイラルの様な構造が存在すると指摘します。今回は、課長などのミドルマネージャーの管理職の目の前に押し迫ってくる数々の「バグ=課題」について、数々の調査研究を例示しつつ、理解編、解析編、構造編、修正編、攻略編として、現実と改善策を整理していきます。管理職の役割を、情報、仕事、人、ルールの各コントロールとして整理し、管理職の現在置かれている状況を若者世代の考え方や日本型雇用の歴史的変遷も踏まえて分析します。経済における「失われた30年」について著者は、人事労務の面から「対話の欠如」が管理職問題の放置を生んだ原因であり、それが30年続いた姿が現在の日本と捉えています。また、管理者養成を研修受講などの「筋トレ」的発想では、マネージャーは養成できない事を戒め、フォロアーシップ、ワークシェアリング、(管理職同士の)ネットワーク(構築)、(管理職としての)キャリア(育成)の各アプローチを学び、実践することが管理職「罰ゲーム」の修正法として、具体例を例示します。最後の攻略編では、めざすべきは、積極的に「やらない」上司とし、「アクション過剰」を防ぐことこそが管理職として重要と提起します。
小林祐児:罰ゲーム化する管理職 バグだらけの職場修正法.2024(2月12日第1刷発行,2024年3月31日第3刷発行購読)