浅学菲才の嘆息

霧山昴さんの「小説・弁護士のしごと-地域に根差す日々」を読んで

 

 良く知っている弁護士さんが、自著3冊目の書籍を献本頂き、ありがたく読ませて頂いた。安倍元首相の暗殺を巡っては、世界平和統一家庭連合(旧統一教会)による過去の霊感商法合同結婚式などの問題が再燃している。本書では、当時の旧統一教会による霊感商法により騙された主婦に寄り添い、信じ込まされて買わされた高額商品の代金を取り返す経過が綴られる。著者の霧山昴は、既に全国に多数の被害例を調べ上げ、事件を解決する。また、ポスター貼り不当逮捕事件では、当時の選挙後援会関係者の不当逮捕を弁護士として、また国民救援会の支部長として、警察の不当な選挙妨害に屈せず、面会では被害者を励まし、地域では警察署前講義集会や不当逮捕を救済する会を組織し、地方裁判所との連携で、無事3日目に出所を勝ち取る。クレジット・サラ金などの借金問題では、人ごとではない問題として心に刺さる。労災や炭鉱火災の被害者救済では、会社側の不適切な対応、会社と労働組合が連携した被害者家族への懐柔工作など、今も昔も変わらない、不当な組織の理論が暴露される。地域スーパーの閉店・任意整理では、規制緩和により大型店舗の進出と地域を支えてきたスーパーや商店のやりきれなさが身に染みる。

 弁護士として地域に根差した活動は、この地域自体が当該弁護士事務所を最期の砦として、信頼を得ている地域になくてはならない弁護士事務所として、今後の益々の活躍を祈念致します。

 

霧山昴:小説・弁護士の仕事-地域に根差す日々.花伝社,2022(6月22日初版第1冊発行)

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