浅学菲才の嘆息

2022-05-01から1ヶ月間の記事一覧

能島龍三さんの「八月の遺書 能島龍三短編小説集」を読んで

戦争の作品では、戦闘シーンは多く描かれ、戦争に組み入れられた兵士、軍属の心情は常に定式化した「護国」「天皇陛下万歳」など画一化した語彙が列ぶ。本書では、兵士や軍関係者の心情が、嗅覚なども含めた五感を刺激する表現で迫ってくる。南京虐殺、特攻…

牛島貞満さんの「首里城地下 第32軍司令部壕」を読んで

アジア・太平洋戦争末期の沖縄県首里城地下には、第32軍司令部壕が縦横に構築され日本本土防衛の時間稼ぎとして、頑強に抵抗した。第32軍司令長官牛島満中将の孫にあたる、元教員の牛島貞満は、祖父の軌跡と同時に沖縄戦の惨状を追い続け、そして戦争の愚か…