浅学菲才の嘆息

2021-12-01から1ヶ月間の記事一覧

キム・ジヘ著、伊怡景訳の「差別はたいてい悪意のない人がする-見えない排除に気づくための10章」を読んで

差別も特権も、ありふれているからこそ見えない、韓国で16万部のベストセラーが邦訳されました。 「自分は差別などしていない」本当にそうか。職場では以前から「権威勾配をなくし、平等な職種関係を構築しよう」と職場への周知を呼びかけているが、本当に職…

藤津亮太さんの「アニメと戦争」を読んで

アジア・太平洋戦争の戦時下の日本で、アニメは新聞やラジオと同様に戦意昂揚のプロパガンダを担い、「桃太郎海の神兵」などで戦争を描いた。この時代を生きた人びとは、戦時の「状況」を知り、出兵の見送りや空襲を「体験」した世代である。戦後復興を経て…

深沢潮さんの「翡翠色の海へうたう」を読んで

本作品は、2人の女性の現在と過去が交錯しながら、一本のストーリーに展開する。1人は小説の新人賞に挑戦し、取材のために沖縄に向かった派遣社員河合葉菜の現在進行形の物語。もう1人は、朝鮮で暮らし日本兵のお世話をする仕事と言われて沖縄に連れてこられ…

著者小林太郎さん、編者笠原十九司さん、吉田裕さんの「中国戦線、ある日本人兵士の日記 -1937年8月~1939年8月 侵略と加害の日常」を読んで

下級兵士である著者の小林太郎の従軍日記を基軸に、日中戦争史の歴史の研究を続ける笠原十九司氏と近現代史の研究を続ける吉田裕氏(東京空襲記念館館長)が編集し、解説する。1937年7月7日の盧溝橋事件以後の1937年に8月に応召され、1937年12月13日の南京陥…

ワタナベ・コウさんの「漫画 伊藤千代子の青春」を読んで

本書は、2005年に著者藤田廣登さんが学習の友社より出版した著書を元に、漫画家のワタナベ・コウさんが漫画にした作品である。 主人公の伊藤千代子は、歌人土屋文明の諏訪高女時代の教え子で、千代子の聡明さに将来を期待されていた。決して裕福でない生活の…