浅学菲才の嘆息

2022-04-01から1ヶ月間の記事一覧

中央公論新社=編の「少女たちの戦争」を読んで

昨年の2021年は、対米英を中心とした1941年12月8日の太平洋戦争開戦から80年の節目の年にあたり、中央公論社新書編集で女性27名のエッセイが発行された。最年長は、開戦時19歳だった故・瀬戸内寂聴氏、最年少は3歳の故・佐野洋子氏。非日常が中心となった戦…

小川たまかさんの「告発と呼ばれるものの周辺で」を読んで

前作『「ほとんどない」ことにされている側から見た社会の話しを。』から4年が経過し、性暴力被害、年齢差別、ジェンダー格差、など、多くの人がフタをする問題を取材し、発信し、声をあげるライター小川たまかさん。本書は、緻密に、そして多面的に調査し、…

逢坂冬馬さんの「同志少女よ、敵を撃て」を読んで

2月にウクライナ問題が勃発した直後、読書友達から強く薦められ購読した。第11回アガサクリスティ賞受賞、読み終わる頃に本屋大賞受賞と、多くの読者や私の心を掴んだ重厚な1冊。第2次世界大戦のソビエトにおいて、セラフィマは目の前でドイツ兵に家族を殺さ…

武田砂鉄さんの「マチズモを削り取れ」を読んで

本書のタイトル「マチズモ」とはスペイン語のマッチョ(男らしい男)が変化した言葉で、「男性優位主義」の事です。男性優位主義を削り取れ、男性側からの問題提起を行います。社会や生活のあらゆる場面でのマチズモが縦横に語られる。スポーツの場面では「…

常石敬一さんの「731部隊全史 石井機関と軍学産官共同体」を読んで

15年に渡るアジア・太平洋戦争の最中に暗躍した関東防疫給水部、いわゆる731部隊の人体実験により、3000人を超えると言われる中国人やロシア人などが凄惨な死を遂げた。ペスト菌やコレラ菌などの生物兵器の実験に供されて無残に殺された人。凍傷実験にて、手…