浅学菲才の嘆息

仁藤夢乃さん編集の「当たり前の日常を手に入れるためにー性搾取社会を生きる私たちの闘い」を読んで

 保護者や親族による性被害、虐待、ネグレクト等で孤立した少女たちは家出をし、路上を彷徨って野宿し、生き抜くために性被害者とならざるを得ない現実を突きつける。彼女たちは孤立し、保護施設などの公的機関からの紋切り型の対応に辟易とし、公的保障も受けられない彼女たちを自身の経験も踏まえて困難を突き破る。弁護士や議員などにも働きかけて行政を動かし、少女たちに寄り添い、伴走する仁藤夢乃さんをはじめとする一般社団法人Colaboのスタッフ。少女たちが個性的なら、伴走するColaboのスタッフも多様性で寄り添う。生活暦や生育歴の辛苦、発達障害精神障害を負いながらも必死に行きようとする少女たちの声を聞く。性搾取する社会と政治家を告発し、当たり前の日常を手に入れる提案を行い、社会変革の必要性を訴える。少女たちやColaboとかかわる人々の対談もふんだんに取り入れ、性買春の現実を告発する。性売買を捉える上で、韓国の従軍慰安婦たちとの交流や沖縄の基地問題などのフィールドワークを通じて社会問題にも切り込む仁藤夢乃さん渾身の一作。私自身が、性差の呪縛から逃れきれていない反省も含めて、さらに学びを深め、行動変容していきたい。

 

仁藤夢乃編:当たり前の日常を手に入れるために-性搾取社会を生きる私たちの闘い.影書房,2022(9月1日初版第1刷購読)

 

http://www.kageshobo.com/main/books/atarimaenonitijoul.html

 

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