浅学菲才の嘆息

澁谷知美さんの「日本の包茎 男の体の200年史」を読んで

  包茎などを処置する「割礼」と呼ばれる儀式やしきたりは、世界中の民族・部族にあり、また男性に限らず女性も心身共に被害を受けている例も紹介されます。日本の包茎にまつわる200年の歴史的変遷を膨大な歴史的資料を元に解明していきます。

 日本人の半数が病的でない仮性包茎であるにもかかわらず、包茎を病気とし、女性を男性性器で性的に支配する構図、包茎男性に劣等感を持たせ男性をも支配する構図を明らかにします。また、明治期より最近まで商業利用として、雑誌や新聞記事にまことしやかな記事・宣伝を連載し続けたマスコミの責任も取り上げます。

 男性クリニックの経営者や医師芸能人、マスコミ関係者などの無責任な発言も丹念に、そして経年的に分析します。男性雑誌に掲載された商業的包茎治療を促す記事も、最近は国民的理解が深まったのかED関係の宣伝に変更されていることにも注意が必要です。

 私自身も誤った認識をもっていた事を内省し、ジェンダー平等を別の視点から観た日本の包茎。多くみなさんに知って欲しい知識です。

 

澁谷知美:日本の包茎 男の体の200年史.筑摩書房,2021(2月15日初版第1冊発行)

 

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