浅学菲才の嘆息

「日本共産党第29回大会決定集」を読んで

 党創立102年目を迎えた日本共産党は、20204年1月に第29回党大会を開催した。戦前の非合法下での弾圧、戦後のレッドパージを乗り越え、3度の躍進を経ての到達点と第30回党大会に向けての具体的方針提起が行われた。日本共産党綱領では、大企業などの「独占資本主義」と対米従属という「帝国主義」を乗り越え、民主主義革命と民主連合政府の樹立をめざしているが、日本共産党が自ら指摘している通り、困難を伴う難事業であり、未来社会を民主的で、無差別・平等の日本をめざし、国際協調をめざす方針を持っている。

 今回の大会で、特徴的だったのは、東南アジアと北東アジアの比較である。東南アジアでは、ASEAN東南アジア諸国連合)によって、紛争を平和的話し合いで解決することを義務づけた東南アジア友好協力条約(TAC)を締結している。域内で年間1500回にもおよぶ会合を開くなど、徹底した粘り強い対話の努力を積み重ね、「分断と敵対」から「平和と協力」の地域へと劇的に変化させてきた。米国や中国も無視できない存在になってきている。一方で、北東アジアでは、①日米・米韓という軍事同盟と外国軍基地が存在、②米中の覇権争いの最前線に立たされている、③朝鮮半島で戦争状態が終結していない、④日本の過去の侵略戦争と植民地支配に対する反省の欠如という歴史問題、と指摘しており、国際協調と世界平和を願う一個人として、非常に参考になる対比であった。

 

日本共産党:日本共産党第29回大会決定集.日本共産党中央委員会出版局,2024(2月4日発行)

 

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