浅学菲才の嘆息

浜田敬子さんの「男性中心企業の終焉」を読んで

 ジェンダー後進国と併走するように経済停滞に喘ぐ日本。働き方、価値観、組織風土から脱却し、生き方や働きがいを企業・組織として見つめ直す。言易行難な課題を、多くの企業の実践例を踏まえて、ジェンダー問題と働き方を提言していきます。

 著者は元AERA編集長など多彩な経歴を持つが、結婚と出産を機に、夫の産休取得で一時しのぎをするも、結局実家の両親を呼び寄せて自身のキャリアを積まざるを得なかった経験を反省例としつつ、女性が伸び伸びとそして管理者としての活躍を開始した多彩な企業を紹介していきます。家父長制、性別役割分業、男性の長時間労働が当たり前の課題を多面的に論じつつ、社会や企業の同調圧力を氷解し、多彩な取り組みで意欲的に働く女性たち。子育てが落ちついてから奮起する女性たちも少なくない。企業の成長にとって、今何が大事なのか。日本社会が変化し、特に男性の思考と価値観の変容こそ重要な課題である事を提起します。

 

閑話休題 理想のリーダー像が変わってきた

近年は、アメとムチ型、損得感情型の「交換型リーダーシップ」から、人々の内発的な動議づけを引き出し、内面の価値観を変革させる「変革型のリーダーシップ」に変容してきているとするスイスの教授が書籍で紹介している。

教授によれば、「交換型」は自分の時間の多くを監視やコントロールに割かなければならないため無駄が多く非効率であるだけではなく、リーダーの指示が適切でないと組織のパフォーマンスが落ちるリスクを指摘している。これに対して、「変革型」ではリーダーが予期していなかった成果が生まれることがあるという。

また、管理機構がヒエラルキー型からフラット化し、ネットワーク群のようになった今は権力や権威で組織は動かさないということだ。 

実に興味ある指摘であり、人事・組織論的な変革の視点を持つ重要性を実感する。

 

浜田敬子:男性中心企業の終焉.文春新書,2022(10月20日第1刷発行購読)

 

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