浅学菲才の嘆息

堤美果さん「ルポ 食が壊れる 私たちは何を食べさせられるのか?」を読んで

 食料をめぐる世界市場の裏で、我々が想像もなし得ない事態が展開している。食料に関する歴史を紐解き、事実を丹念に拾い集め、各国の現場に入り人びとの証言と共に、食に関する現状が暴露される。「人口肉」は本当に地球を救い人間を健康にするのか。フードテックの名のもとに、ゲノム編集から食べるワクチンまでDNAごとハイジャックされる農業や食料で良いのか。農地を買いあさるGAFAMと土地を奪われる貧農たちの行く末は、農業と食料の独占による世界食糧支配。デジタル農業計画の裏に忍び寄る植民地支配体制の強化。それもで、日本の食の未来を切り開こうと孤軍奮闘する猛者たち。世界的食糧危機にも光が差す方向性を提示する。水が豊で、長年の治水を続け、肥沃な土地改良を続けた日本こそ、食の宝庫である。経済摩擦のツケを外国からの食料輸入に依拠し、農協を壊滅的に痛めつけ、対米従属と独占資本に縛られない日本を目指す必要があるだろう。外国から食料輸入がストップしたら、日本はあっという間に食料危機に陥り、餓死者が続出するからである。

 

堤美果:ルポ 食が壊れる 私たちは何を食べさせられるのか?.文春新書,2022(12月20日第1刷発行購読)

 

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