浅学菲才の嘆息

松岡哲平さんの「沖縄と核」を読んで

 2017年9月10日に放送されたNHKスペシャル「スクープドキュメント 沖縄と核」を録画し、繰り返し視聴して沖縄と核の問題を何度も考えてきた。2019年に本書が出版されたが、繰り返し録画を見てきたこともあり、積読して3年が経過して、沖縄本土復帰50年の節目と思い精読した。

 戦後の米軍統治下の中国内戦、朝鮮戦争ベトナム戦争キューバ危機を背景に、沖縄本島と近隣諸島は米軍基地の拡張が続き、銃剣とブルドーザーで土地を奪われ、爆音や軍事廃棄物に悩まされた沖縄の人々。東西冷戦の中で、中国、ソビエト、東南アジアに対峙する形で沖縄に核兵器が配備され、1960年代は1300発もの核兵器が貯蔵され、発射訓練が実施されたが、沖縄住民には詳しく伝えられなかった。また、日本では安保反対や三池闘争が激化した1959年には、核弾頭を搭載するナイキ・ハーキュリーが誤発射する事故を起こしていた。核爆発は逃れたが、爆発していたら那覇周辺は甚大な核被害が起きていたかもしれない。ビキニのブラボー被害で活発化した日本国内の核兵器反対の世論は、1972年の沖縄本土復帰の際に、日米両国での非核三原則か核抑止力かのせめぎ合い。米軍基地があるがゆえにいつ日本が攻められるか。軍隊や兵器のない世界こそ、地球平和への希望の道ではないか。

 

松岡哲平:沖縄と核.新潮社,2019(4月20日購読)

 

www.shinchosha.co.jp

honto.jp

www.nhk.or.jp