浅学菲才の嘆息

伊藤詩織さんの「裸で泳ぐ」を読んで

 私の認識の中では、著者の伊藤詩織さんは、実名・顔出しで性犯罪被害を告発し、また悪辣なネット上の誹謗中傷者と闘う孤高の闘士と思い込んでいた。しかし、本書で綴られる伊藤詩織さんは、自分の生い立ちをふり返り、自分に正直に、真っ直ぐに生きてきた高校・大学時代、そしてジャーナリストとして活動した実績などを通じ、日記を元に自身の人生を行き戻りしながら振り返る。時に性犯罪被害者として激しいフラッシュバックによる心の微妙な変化と揺れ。親友やパートナーに支えられた人生観など、多彩な交友関係を通じて、支え、支えら、悩み、もがき苦しむ様を吐露する伊藤詩織さん。我々が、性犯罪被害やネット被害を受け苦しんでいる人を理解し、自ら考えて発言し、これからどのように行動すべきかを考えさせられる1刷となった。

 

伊藤詩織:裸で泳ぐ.岩波書店,2022(10月27日第1刷購読)

 

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