浅学菲才の嘆息

佐々木憲昭さんの「日本の支配者」を読んで

 闇の支配者、陰の支配者はいるのか。総理大臣や閣僚は、本当に自分の政治信念で発言しているのか。近年の総理大臣や閣僚は、官僚のシナリオを読むだけで、自らの語彙表現で国民に対話をしない。マスコミも歯切れが悪い。誰に気を遣い、忖度しているのか。

 本著は、元国会議員の佐々木憲昭さんが、長年にわたり収集した膨大な資料や参考資料、統計データを丹念に整理し、日本を支配する陰の支配者を暴き出す。封建制の江戸時代から、明治維新に伴う天皇主権と財閥支配により、搾取や人権侵害の限りを尽くし、大正デモクラシー治安維持法で鎮圧し、アジア・太平洋戦争へと突き進み、日本国民のみならずアジア全域に甚大な被害をもたらした。敗戦による財閥解体後も、巧妙に日本の独占資本は支配を強め、近年では多国籍企業によるグローバル化による財閥支配に移りつつあることも検証する。また、1945年の敗戦後は社会主義国の台頭や東西冷戦に翻弄されながら、米国帝国主義に隷従し、支配される日本の財閥と保守政治家の相関をあぶり出す。

 誰のために何のために。株式を主体とした資本主義は、大株主のために、利益のために一握りの支配者・ブルジョワジーが私腹を肥やす。この対極に、はたらく人々・プロレタリアのために、非営利共同、無差別平等を掲げ、地域の人々の健康と生活を守り、貧困と格差に立ち向かう組織とは。我々がどう進むべきか、道標を示している書籍ではないか?

 

佐々木憲昭:日本の支配者.新日本出版社,2020(4月5日第4刷)

 

www.shinnihon-net.co.jp

honto.jp