浅学菲才の嘆息

合同出版編集部の「わたしは黙らない~性暴力をなくす30の視点」を読んで

 34名の個人・団体から構成される「#Metoo」の中心となった当事者たちや、長年にわたり第一線で性暴力被害を支援してきたアクティビスト、研究者らが、性暴力の現状やこれまでの動き、今後の展望などを30項目に渡ってまとめました。これまで沈黙を強いられ孤立した性暴力被害者。こうした現状を打ち破ろうと、被害者たちがその体験や思いについて声をあげ始めました。「#Metoo」やフラワーデモ、性犯罪刑法の改正など、様々な変化を起こしてきましたが、まだ現状は厳しさが続きます。

 本書名の「わたしは黙らない」に込められた思い。1991年8月14日、韓国のソウルで金学順という67歳の女性がカメラの前に立ち、日本軍の「慰安婦」にされた過去を告白しました。日本軍慰安婦させられた事による韓国内の社会的制裁を恐れ、沈黙を続けてきた被害者たちの沈黙からの脱却です。これを機に、日本軍による大規模・系統的な戦時性暴力が、アジア・太平洋の広範な地域の被害女性たちから声が上がり、広く社会に知られるようになりました。そして、今から20年前のコソボ紛争下で、性暴力を受けた被害女性、バスフィエ・ブレアさんが「わたしは黙らない。沈黙は加害者を喜ばせるだけだから。」に込められた思いが、本書で縦横に語られます。

 

合同出版編集部:私は黙らない~性暴力をなくす30の視点.合同出版株式会社,2021(10月30日第1刷発行購読)

 

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