浅学菲才の嘆息

保坂正康さんの「昭和史の急所」を読んで(1)「自省史観」の立場から

  

自虐史観」から「自省史観」で納得する私。

 

 二十一世紀に入ってからであろうか。奇妙な体験が重なるようになった。大学生相手の講演や市民を対象にした文化講座で昭和史を論じることがあるのだが、質問の折などに「先生の考えは、自虐史観ですね」と乱暴に決めつける者が出てきたのである。(略)

 私はこうしたタイプの人たちの質問や疑問には、「私は自虐史観ではなく、自省史観の側に立っている。昭和という時代を自省や自戒で見つめ、そこから教訓を引き出し、時代につなげていくという立場だ」と答えることにしている。あるいは、「あなたたちは史実を、政治や思想で割り切ろうとしている。それは左翼”の公式史観と対になっていて、私はなんの関心もない」とはねつける。実際これが本音である。

『太平洋戦争を考えるヒント』(10-12)

 

保阪正康さん

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%BF%9D%E9%98%AA%E6%AD%A3%E5%BA%B7

 

保坂正康:昭和史の急所.朝日新聞出版,2019(5月30日第1刷発行)

 

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