浅学菲才の嘆息

医療生協さいたま看護部本編集委員会編著:続地域とともに産み・育み・看とる-コロナ禍でいのちと向き合うー」を読んで

 私の所属する団体より献本頂き、早速拝読させて頂いた。最近、田中ひかるさんの「明治のナイチンゲール 大関和物語」を読んでいたこともあり、看護師の歴史を含めて、コロナ禍で奮闘した医療生協さいたまの看護職集団の事例を大切にする姿勢、さらに事例を丹念にまとめる労作に、まず敬意を表したい。

 医療生協さいたまは、全日本民主医療機関連合会に加盟している医療と介護事業を行う法人であり、看護理念は「地域と共に産み・育み・看とる」としている。地域の中で小児から高齢者まで、健康の回復・維持・増進を推進し、暮らしの視点で看ていく看護理念は現在の医療・介護にとって、重要な視点ではないかと思う。

 本書は、コロナ禍で奮闘した看護集団の事例の積み重ねであり、地域ニーズに応えるER(緊急救命室)、産婦人科、病児・障がいのある医療的ケア、尊厳を保つ支援、(高齢者の)生き方の選択を支える支援、コロナパンデミックの試練を乗りこえ未来に羽ばたく看護職集団の成長を記録する。生活と労働の視点や、SDH(健康の社会的決定要因)、HPH(ヘルスプロモーションホスピタル)の視点など、患者・利用者の病気や障がいのみにとらわれず、生活や社会背景をしっかり捉えた視点と実践に、東京に向かう機内で幾度落涙したことか。この実践を学びとし、日常臨床に活かしていきたい。

 

医療生協さいたま看護部本編纂委員会(編著):続地域とともに産み・育み・看とる-コロナ禍でいのちと向き合うー.本の泉社,2023(3月31日初版第1冊発行,献本購読)

 

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