浅学菲才の嘆息

水生大海さんの「希望のカケラ 社労士のヒナコ」を読んで

 お仕事・労務ミステリーと聞いてピンと来ない方も少なくないだろうが、主人公の社労士(社会保険労務士)が総務・人事・労務問題に直面し、悩み考え解決していくお仕事ミステリーの決定版。

 2017年に第1作「ひよっこ社労士のヒナコ」、2019年に第2作「きみの正義は 社労士のヒナコ」に続く第3作であり、ひよっこヒナコも随分経験値を積み、成長して、所長に信頼される活躍を見せる。

 本作は、コロナ禍を背景とした労働問題を中心に、インターネットの普及に伴う課題などに挑戦するヒナコ。コロナの経済危機に乗じて不正受給が社会問題となった中、持続化給付金や、雇用調整助成金、家賃支援給付金は適正に支給されているか。小規模事業所における同一労働同一賃金の問題。個人事業主と労災の課題。ユーチューバーは副業となるか。そして書名の「希望のカケラ」では、小規模事業所での「育児・介護休業法」の取得を希望する男性社員と性別役割分業から脱しきれない経営者の心の揺れと葛藤が描き出される。総務・労務等にかかわる人は必読、かかわらない人も読めば学びにつながる小説として、是非手に取ってお読み頂きたい。

 

水生大海:希望のカケラ 社労士のヒナコ.2023(1月10日第1刷購読)

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