浅学菲才の嘆息

早乙女勝元さんの「ゲルニカ 無差別爆撃とファシズムのはじまり」を読んで

 アジア・太平洋戦争末期、日本は米軍からの無差別空襲を受け、原爆を投下された。しかし、日中戦争において日本軍が中国国内の重慶爆撃などの大規模無差別空襲を行ってきた事を知らない日本人も少なくない。

 日本軍が中国に無差別空襲を行っていた時期、スペインのコンドル部隊もまた、ナチスヒットラーの支援を受け、スペインの都市ゲルニカに無差別爆撃を行った。この空襲に驚いたピカソが、名画「ゲルニカ」を描いたことは有名である。

 著者の早乙女勝元氏は、自身も東京大空襲の犠牲者として、東京大空襲・戦災資料館の館長を務め、現地ゲルニカを取材し、本書にまとめた。現地取材を通じて、スペインにおける当時の情勢やゲルニカ爆撃を丹念に取材し、戦時国際法であるハーグ空戦条約に違反する蛮行であり、非戦闘員である老人や女性、子供など、弱者に甚大な被害をもたらした事を紹介する。また、同署では隣国のイタリアの独裁者ムッソリーニの最期やパルチザンの抵抗運動なども紹介され、ナチスドイツと違った第2次世界大戦の一面を知る事ができる。

 

早乙女勝元:ゲルニカ 無差別爆撃とファシズムのはじまり.新日本出版社,2020年(2月25日初版)

 

www.shinnihon-net.co.jp

 

honto.jp