浅学菲才の嘆息

庭田杏珠×渡邉英徳(「記憶の解凍」プロジェクト)の「AIとカラー化した写真でよみがえる 戦前・戦争」を読んで

 広島出身の庭田杏珠さん(東京大学学生)と渡邉英徳同大学教授の共著で、映画「この世界の片隅に」の片渕須直さんやアーサービナードさんらがプロジェクトに加わり、戦前・戦争と人びとの暮らしをAI(人口知能)でカラー化します。庭田さんは広島出身で、どのように戦争体験者の「思い・記憶」を未来へ伝えていくかを考える中で、カラー化の手法にであいます。また、渡邉さんは2016年からAI技術を応用して白黒写真をカラー化する活動を開始し、庭田さんと出会います。AIでカラー化した写真を当事者の記憶を解凍して色の補正を行い、よりリアルな色合いに仕上げていきます。大正末より、治安維持法言論統制が厳しかったとはいえ、穏やかな生活から徐々に軍靴の音が近寄り、軍民一体の戦争へ突入していった。途中で目をそむけたくなる場面にも遭遇するが、プロジェクトのみなさんの平和への思いが伝わります。高齢者と共有することで、回想法となり、新たな記憶が甦るかもしれません。

 

庭田杏珠×渡邉英徳(「記憶の解凍」プロジェクト):AIとカラー化した写真でよみがえる 戦前・戦争.光文社新書,2020(9月10日第6刷発行)

 

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