浅学菲才の嘆息

梯(かけはし)久美子さんの「戦争ミュージアム-記憶の回路をつなぐ」を読んで

 日本には戦争にまつわる記念館・ミュージアムがある。しかし、戦争という負の歴史を記録と記憶の継承を取り組むミュージアムがある一方で、残念ながらアジア・太平洋戦争は大東和共栄圏の開放・産業発展のために正しかったとする記念館も含まれる。

 本書は、戦争の時代を生きた人間を描くノンフィクションを多数残してきた梯(かけはし)久美子氏が、全国各地を行脚し、各地の平和のための博物館や資料館を訪ね、そこで触れた土地の歴史と人々の語りについて14施設の概要を伝える。安保3文書、南西諸島の軍事要塞化などきな臭い匂いが日本全体に充満していく中で、過去の歴史が今と地続きとなっている過去の旅へ誘う。紹介される1ヶ所目の記念館は、今年2024年2月に私自身が訪れ、元高校教師の山内正之さんにガイドして頂いた大久野島毒ガス資料館である。日中戦争で使用された毒ガスの加害の歴史を伝え、資料館発展させ、今もガイドを続ける山内正之さんらの粘り強い活動に敬意を表する。

 

梯(かけはし)久美子:戦争ミュージアム-記憶の回路をつなぐ.岩波新書,2024(7月19日第1刷発行購読)

 

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