浅学菲才の嘆息

山崎ナオコーラさんの「肉体のジェンダーを笑うな」を読んで

 ジェンダー平等に関して、純文学4作品で綴る本作品には不思議な魅力があります。第1作目の「父乳の夢」は、医療の進歩によって父の胸からも乳を出すことが可能になったらとした日常。母乳神話、出産後の母親の苦労や育児について、父親の育児参加について会話形式で自問自答します。第2作目の「笑顔と筋肉ロボット」では、女性が筋肉ロボットを装着して男性以上の力を持った生活描きます。第3作目は、PMS(月経前症候群)の月単位の感情や気分の波を、フラットな生活や感情の描写と対比し、最後は波乗りサーフィンという感情や気分の波の大切さについても理解を深めます。第4作は、単純な顔の美醜について、顔認証システムの中で、個性を大切にすることを訴えます。

 多様性を重視した本作品は、コロナ禍だからこそ心のオアシスとしてお薦めしたい。

 

山崎ナオコーラ:肉体のジェンダーを笑うな.集英社,2020(11月10日第1刷発行)

 

books.shueisha.co.jp

honto.jp