浅学菲才の嘆息

証言 治安維持法「検挙者10万人の記録」が明かす真実 を読んで

 大正末期の1925年に制定された治安維持法。当初は「国体の変革」や「私有財産制度の否定」を目的とする結社、主に共産主義者を取締の対象としていたが、終戦の年に廃止されるまで運用対象は一般の市民にまで拡大され、普通に暮らす普通の人々が次々に検挙されました。公文書に記載された検挙者のデータと当事者や遺族の生々しい証言や手記を通して、治安維持法が運用された20年間を検証します。

 多くの一般市民を監視し、検挙、厳しい取り調べと拷問、獄中や出獄後の苦しい生活が生々しく証言されます。法律改正と拡大解釈により、多くの市民の自由を奪っていった治安維持法。今、政府は、治安維持法の再来ともいえる共謀罪を成立させ、この書で紹介されている弾圧をできるようにしています。治安維持法の恐ろしさを知り、共謀罪を使わせず、えん罪も生まない運動を強めていくことが重要です。

 

NHK「ETV特集」取材班,(監修)荻野富士夫:証言 治安維持法「検挙者10万人の記録」が明かす真実.NHK出版,2019(11月11日)

 

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