昨年出張した際に、書店に平積みされていた本書を見て、興味が湧き、積ん読していたが、やっと読み終えることがで来た。
ジェヘリー・フェファ(著),村井彰子(訳):悪いヤツほど出世する,日経新聞出版社(日経ビジネス文庫),2018(3月1日第1刷発行,4月13日第3刷)
タスキには、びっくりする様な言葉が並ぶ...
嘘つき、裏切り、自己中心・・・
これが、リーダーの「資質」だ。
スタンフォード大学の人気教授が、理想のリーダー論を根底から覆す。
背表紙には、サマリーが書かれているのだが...
リーダーに「謙虚さ、誠実さ、思いやり」を期待すると痛い目に遭う。なぜなら組織を引率する人はみな、「虚言や裏切り、自己中心性」により地位を獲得、維持するからだー。スタンフォード大学の著名研究者が、豊富なデータ、経営学や心理学などの知見から「理想のリーダー論」の幻想を覆し、組織を生き抜くための「6つの具体的な方法論」を説く。
スポーツ界の例え
P293
(前略)
コストカッタ-と呼ばれる人間はどこにいてもコスト削減に情熱を燃やすし、癇癪(かんしゃく)持ちで部下を罵倒する人間は、どこにいてもそうするものだ。
企業からスポーツ界、とりわけ大学スポーツに目を転じれば、この種の例は文字通り何百とある。どうやら大学というところは、監督が勝さえすれば、少々のことには目をつぶってしまうらしい。だからこのような姿勢は、新たな問題を発生させるだけである。過去と同じ行動の繰り返しにすぎないのだが、
たとえば、名門ラトガース大学のバスケットボール・チームの 監督を務めていたマイク・ライスは、2013年に解雇された。ニューヨーク・タイムズ・マガジンによると、「ESNP(スポーツ専門テレビ局)が流した映像には、ライスが選手を怒鳴りつけ恥をかかせる、ウェアを引っ張る、押す、蹴る、ボールを頭や脚に投げつける、ホモだと愚弄する様子が映っている」
(中略)
学習理論の基本原則は、行動は結果に比例するというものだ。ある行動が評価され報われれば、その行動の頻度は上がる。ある行動が無視されたり、罰されたりすれば、その行動の頻度は下がる。ところが、リーダーの世界では、とりわけ地位の高いリーダに関しては、業績不振から重大な倫理規定違反、さらには部下の不当な処遇や虐待に至るまで、悪い行動が罰されることがあまりにも少ない。その結果、よからぬリーダーも士気が上がらない職場も、ほとんど何も改善されないままとなる。リーダー悪行の罰を受けずにうまいこと切り抜けてしまうのでは、そうならざるを得ない。
スポーツでは、日大アメフト問題でも、女子体操のハラスメント問題も含めて、多くの事件が同様の結果となっている。
政界でも、時の首相の相次ぐスキャンダル(秘匿・隠滅・改竄)、国家官僚達の連続不祥事も、多くの企業の捏造・隠蔽・改竄も、まさに同じ事であろう。
あらためて、組織・運営の原点に立ち返り、襟を律するべき時ではないか?